2010年10月22日金曜日

自転車操業

同じ人力でも歩くのと自転車では進むスピードが大きく違う.
徒歩で進み続けるには,
文字通り足を動かし
続けなければならないのに対し
自転車では惰性によって
足を止めてもある程度進むことができるから,
休みつつ移動できる.
だから徒歩は動き続けなければいけないという点において
自転車より楽ができないといえる.

ここまで書いておきながら,
こんなこと書くまでもないなと思うのだけど,
こんなことでも書かないでいると
ブログは永遠に放置されるままなので
書き続けるのである.

自転車にのっているとき
ペダルを動かす足を止めても
ある一定距離進むのは
慣性力によるものだ.

徒歩と自転車を比べたときに
楽ができるかどうかは
慣性力を利用しているか否かに
かかっていると言っていいだろう.

昨日の朝,道を走る自転車を見て
そんな当たり前のことを心に思いめぐらしていたら,
企業と個人事業との違いが,
徒歩と自転車の違いに似ていると思い
一人で妙に納得してた瞬間があった.

よく不安定な中小企業の経営状態を
自転車の歩みになぞらえて
自転車操業というけど,
個人事業者のように運営する人の数が
限られているような状況では
自転車のようにペダルを
こぐ足を休める余裕はない.

絶えず足を動かし続け
前に進み続けなければならないのが
現実の小企業・個人事業の経営の姿であろう.

自転車のように慣性力が働いて
多少休んでいても勝手に進んでくれる
余地がある企業というのは,
構成する人数の多い大企業であるといえる.

そして,たくさんの従業員が働いているところでは,
そのうち必ず働いていない社員がいるものだ.

童話に例えられるほど仕事熱心であると言われる
昆虫のアリでさえ,働きアリの3割は
常にサボっているらしい.

アリでさえそのような状況なのだから
大企業に務める社員の最低3割は
会社の利益に貢献することなく
遊んでいる状態であると見積もっても
さほど大きな誤りではないだろう.

そのような遊んでいる社員というのは,
大企業を自転車にたとえるならば
ペダルを漕ぐのをやめて
惰性で進んでいる状態と例えることもできよう.

とはいえ大企業だからといってその社員は
定年までずーっと会社の利益に
貢献せず遊んでいられるかというと
そんなこともないから,
そんな社員は査定が悪くて
そのうちリストラされるのがオチだ.

だから遊んでいる社員もしばらくすれば
いつの間にか会社の利益に貢献して,
そしてしばらく頑張って
またお休み状態になるサイクルを繰り返すことが多い.

企業で働くというスタイルは,
このように所属する組織の利益に
直接貢献している状態と,
利益には結びついていなくて
遊んでいるといっていい状態の
サイクルを繰り返すことができるという点において,
長い人生における遊びという名の余裕を持たせながら
前に進んでいける仕事のスタイルなのだと思うのだ.

ふらふらと歩道を進む自転車を眺めながら,
寝ぼけた頭でボンヤリと
そんなつまらないことを考えてた
昨日の朝だった.