2010年10月23日土曜日

家電量販店におけるトキメキ感

出張の帰り駅に降り立ち,
さあ自宅方面へのバスに
乗ってまっすぐ帰ろうかなあと思ったのだけど
時間は まだ6時過ぎで,
ちょっと寄り道してみたくなった.

そこで,子供らが生まれてから
縁遠くなった家電量販店に
寄ってみることにしたのである.

盛岡駅から歩いて10分ほどにある大型店をめざす.

10月も21日となって6時過ぎにもなると
ほとんどくらい道.
空気はひんやりと気持ちがイイ.

道すがら盛岡駅裏の立派な空き地の向こうに
ライトで照らされた重機が見えた.
ちょっぴり絵になると思ったけど
カメラを取り出すほどではない.

そして比較的新しい家電量販店に程なくついた.

パソコンや映像機器などが置いてある
フロアを40分程度散策した.

僕は18歳で家を飛び出してからというもの,
時間があれば電気屋さんに足を運んだものだった.
なにが面白くてそんなことをしてたのか
今振り返ってみると,
商品を見て妄想を描いていたのだと思うのだ

電気屋さんに並ぶ商品をながめ,
心のなかでは,
「これがあれば面白いことができる」
とか
「これを使っている姿はきっとカッコいい」
とか
「これさえあれば自分の能力は皆よりアップできる」
など,
現実に購入したとしても必ずしも
そうなるものでもないのだが
商品を眺めながら心に沸き立つトキメキ感を
楽しんでいたいのだと思う

ところがである.
久しぶりに一人で電気屋さんを
40分も回ったにもかかわらず
そのトキメキ感は得られなかった.

これは自分にとって大きな驚きと発見であった.

年をとってつまんないオッサンになってしまった
ということだろうか.
きっとそれもあると思われるが,
それだけではないようだ.

40分回ってみて興味をかきたてられたのは
その値段.
製品の持っている機能がもたらす,
生活が豊かになるという期待感とかが
沸き上がってくることはほとんどなくて
ただ安いことだけが魅力になっているのだ.

これでは今買うともっと安くなりそうだから
買ってしまったら損をしそうな
気になってしまうじゃないか

それと家電量販店の売り方以外に,
値段そっちのけで欲しい製品分野というのが
無くなったと思う.

テレビ.デジカメ・ビデオカメラ・オーディオ・電子辞書・パソコン・ケータイ

カテゴリーはこれで固定化しちゃってるから
名前を見ただけで商品のもたらす効能が
イメージできちゃって
個々の製品の説明を読む必要もない.
デジタル化によって製品ごとの
性能もほぼ横並び状態だし.

だから 値段だけしか魅力になりえないのだろう.

おそよ40分間,お店の中をグルグルと
くまなく眺めた僕は,
さめた気分でお店をでた.

夕闇はさらに深まり,
空気はいっそう引き締まった感じがした.

バスに乗るため
再び盛岡駅に向けて歩きながら,

日本の電機メーカーは,
家電量販店がどこの製品カテゴリーに
並べたらいいのか
困るような製品を開発しないと
未来はないと確信した.