2012年1月5日木曜日

仕事始めの前日

あっという間に正月休みが終わってしまった.
今日から2012年の仕事が始まる.
だるく感じる気持ちと,引き締まる気持ちは短時間に,くるくると心の主導権を奪っている.

今年も正月休みを殆ど自宅で過ごしたのだが,
最終日の昨日は,気持ちを切り替えるために日帰り温泉へ出かけてきた.

はじめ近くにあるお山の湯へ行くつもりだったのだが,
いわゆる休みボケを拭い去るつもりで,少し遠いところを目指すことにした.
盛岡から西に片道60キロ程度の乳頭温泉である.

雪深い山奥にある乳頭温泉の露天風呂は,確かに期待を裏切らなかった.

霞むほど遠くまで続くブナの雑木林に深々と粉雪の舞い散る姿を眺めながら,
東屋の下,硫黄の香る露天風呂に浸かるのは,最高の贅沢であった.

3歳と6歳の子供たちは,露天風呂の脇に積もった雪をたらいにいれたお湯に溶かすのが
気に入ったのか,何度もそれを繰り返していた.
なかなか上がると言わず,1時間30分程度 温泉に浸かった.

私は硫黄の匂いが好きだから,硫黄をタップリと含んだ空気を吸い込んでいるだけで,リラックスしているような気持ちになるのだが,実際に体にはどのような影響があるんだろうか興味のあるところだ.
硫化水素は,強力な毒性を持つらしいが毒と薬が表裏一体であることをふまえれば,心地よく感じる温泉の硫黄臭によい効果を期待してもいいのではないだろうか.

硫黄という物質に先人たちは,地獄だとか悪魔と結びつけて考えたのはなんでだろう.
溶岩だとか火山とか火口とか,生物の住めない殺伐とした景色に多く存在するからだろうか.

次々と浮かんでくる疑問を温泉の中では調べることも出来ないから,ただ雪の降りしきる雑木林を眺めているうちに,すべてがどうでも良くなって,心は空っぽになった.

何もできない空間に意図して身を置くことは,心の奥に隠れていた「諦め」という掃除屋を蘇らせて,日常に曇った心をきれいにするということなのかも知れないと私は思った.
人は心を支配しているようで支配をしていないから,自動的なその働きを予測して行動することも,心を維持するためには必要なのだろうか.